こちらではいよいよ10天体のしめくくりにして、最後のトランスサタニアン…冥王星について書いていきますね。
冥王星はホロスコープ上では、♇の記号で表されます。
占星術ソフトやサイトによっては下の記号で出てくる場合もありますが、どちらを使ってもかまいません。
もう一つ記号はこちら↓

一つの星座に約21年とどまる、もっとも運行速度が遅い天体になります。
冥王星は、天文学の世界では2006年に準惑星に降格されてしまいました。
ですが、占星術の世界では依然として強力なエネルギーをおびた星としてあつかわれ、10天体の中ではもっとも底知れない影響力を持つとされています。
そんな冥王星は、「死と再生」、「生まれ変わり」をつかさどる天体です。
冥王星の入っている星座を見ることで、その世代が「何を徹底的に手放して、新たに何を得るか」「どんなことに強く縛られ、こだわりやすいか」がわかります。
たとえば、冥王星が蟹座にあった1913年~1939年ごろは世界大戦の時期でした。
蟹座はよく家庭を表す…なんて言われますが、もっと広い意味では「地元」「祖国」といった意味合いもあります。
冥王星蟹座の時代は、戦争の勝ち負けに関係なく、多くの人々が自分の家や家族、おだやかな日常を失いました。
ですが、その後長い時間をかけて復興に力をそそぎ、今日の豊かさにつながっていくことになります。
また、冥王星が乙女座にあった1958年~1972年ごろは、日本で言えば高度経済成長の時期になります。
乙女座はよく言われる「奉仕」だけでなく、「自己成長・自己反省」といった意味合いがあり、目標に向かってストイックな努力にはげむエネルギーを持っています。
冥王星乙女座の時代は「モーレツ社員」なんていう言葉が流行し、人々はよりよい生活を求め、朝から晩まで身を粉にして働きました。
その結果、小さな一敗戦国に過ぎなかった日本が、今では立派な先進国となることができているのです。
こちらに書ききれないものを含めてもダークな意味合いが強く、文字通り「ザ・凶星」なイメージが強い冥王星ですが…
時代ごとに星座に関することを徹底的に壊したり、強制したりする代わりに、全く新しい強烈な希望をもたらす作用もあるのです。
また、人それぞれタイミングは違いますが、リアルタイムで運行中の冥王星が、出生ホロスコープの一定のポイントに重なると、それまでの人生を180度覆すような転機がおとずれます。
わたしの場合は28歳の時にそれがやってきましたが、この時期は
「見て見ぬ振りをしていた星の才能を、本人になかばムリヤリにでも思い出させる」
作用があるようです。
(くわしい実体験はメルマガの「冥王星」でシェアしています)
なのでわたしは冥王星に、
「大魔王(ラスボス)のようでありながら、救世主のような役割も果たす星」
…というイメージを持っているんですね。
また、冥王星もほかのトランスサタニアン同様、個人レベルで読み解くにはハウスやアスペクトを個別に深く見る必要があります。
これはほんの一例にすぎませんが、太陽や月が冥王星とアスペクトを作っている人、際立っている人は、色々な意味でタダ者ではない雰囲気や、言いしれぬ存在感をまとっていることが多いです。
また、冥王星があるハウスに関するものごとには、執着が生まれやすいとも言われています。
ご自分をあまりにも強いエネルギーで追い詰めすぎないために、そしてその圧倒的なパワーを、しかるべき方向にうまく使うことができるように…
個人レベルでもご自分の冥王星のテーマを読み解いておくのは、とてもとても大切なことなのです。
冥王星は「原子力」もつかさどり、記号の♇はローマ神話の冥界の王・プルートの頭文字を取ったもの。誰もが心の底に秘めている、ドロリとした闇や爆発的エネルギーを示す星です。
それがはじけたとき、「世界」は核融合に巻き込まれたかのように消し飛んでしまうかもしれません。
それだけ圧倒的なパワーを持った冥王星ですが、先ほど示したもう一つの記号は種を覆う花をあらわしていると言われています。破壊によって焦土と化した不毛の地に咲く、一輪の希望の花といったところでしょうか。
何もかも壊され、失うことで、新しく生まれるものごとやもたらされる光もある…ということなのでしょう。
冥王星の持つ、両極端で矛盾したチカラは、このふたつの記号にほんとうによく象徴されているなあ…と、わたしは思っています。
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