突然星になってしまった祖父ーじいちゃん、ありがとう

先日、母方の祖父が亡くなりました。
88歳でした。

年齢的には、いわゆる大往生ではあったのかも知れません。
ですが、ついこの間のお正月に帰省したときは動作はおぼつかないながらも話はできましたし、一緒に飲み食いもしていました。

わたしが神奈川に帰った数日後に倒れ、そのまま危篤状態になってしまったので、高齢であったとはいえ、やはりわたしたち身内にとっては急な旅立ちでした。

祖父は12月生まれで、お正月の時点では誕生日を迎えたばかりだったのですが、

「じいちゃん、何歳になったん?」
「もう88だぁ」
「そっかぁ、じゃあ米寿じゃんね」

という何でもないやりとりが、まともに言葉を交わした最後になってしまいました。


祖父は太陽が射手座、月が水瓶座。

太陽射手座といえば自由で朗らかなイメージの強い配置ですが、祖父はそういった要素はあまり感じられなかったです。

太陽射手座は滅多なことでは感情を乱さない懐の深さや鷹揚さとして、月水瓶座はこだわりの強さや、時折垣間見えるユーモラスさとしてあらわれており、これらの特性が混ざりあうことで、泰然とした雰囲気を醸し出していました。


無欲恬淡としていて口数少なく、真面目一徹。

家族のために働き、家族の幸せに自分の人生をささげた人でした。

お通夜のナレーションで、「○○さまは、戦中戦後の後難期を力強く生き抜かれ…」というくだりがあったのですが、そこでふと祖父はバリバリの昭和一ケタ生まれで、出生時冥王星は蟹座にあったことを思い出しました。

冥王星蟹座時代は、ちょうど世界大戦の時期にあたりますが…


冥王星は「強制」「破壊と再生」、

蟹座は「家庭」「基盤」というキーワードがあります。


なのでこの世代は、時代の趨勢上いやおうなしに、自分の家や家族、ひいては祖国を奪われ、その再建につとめざるを得ないような

宿命を背負いやすい…という解釈ができます。

祖父自身は年齢的にすんでのところで徴兵されずに生き延びましたが、祖父の実家は戦災に遭い、兄弟が戦死するといった体験をしたようです。


終戦の数年後に祖母と結婚しますが、成長した祖父は働き盛りの年代の多くを、冥王星乙女座時代に過ごすことになります。

冥王星乙女座時代は高度経済成長にだいぶ重なりますが、当時の男性たちは、(女性でも頑張っていた方はいたでしょうが)、娯楽・享楽は二の次で国の再興のために身を粉にして働きました。もちろん祖父もその一人。

本当に働き者だった、と母も叔母も述懐していました。

頑強で車の運転が得意だった祖父は、若いころは長距離トラック運送や引っ越し業などで家計を支えていたようですが、わたしが物心ついた時には某地方銀行の役員運転士をしており、そのまま定年まで勤め上げました。

仕事一筋でまったく無趣味な祖父でしたが、それでも若いころは欲しいものの一つや二つあったかもしれません。

ですが、最後まで地道にコツコツと働き続け、浪費など一切しませんでした。
(わたしは祖父が生活必需品以外で何か欲しいものを買ったという話を、一度も聞いたことがないです)


そんな祖父の太陽は、わたしの月とコンジャンクションしています。

これは占星術上、相性の良し悪しを超える強い縁を示しますが、そのせいかわたしはわりと祖父から可愛がられていたように思います。

子供の頃は金貨の形をしたチョコやら、カエルのおもちゃやら、よく色々なおみやげを仕事帰りに買ってきてくれました。
どれもちょっとしたものでしたが、うれしかったのを覚えています。

(わたしの実家は二世帯住みで、母方の祖父母とは物心ついた時からずっと同居でした)

ある程度大きくなってもよく色々なところに車で連れていってくれたりしましたし、本などもずいぶん買ってもらったと思います。
大人になってからも、嫁いだ後も、何だかんだと気にかけてくれていました。
「碧、大丈夫なのか」、と。

ですが、わたしはというと、何一つ祖父には恩返しをできていませんでした。
ひ孫(娘)の顔を見せられたことだけがせめてもの救いですが、先ほどの最後の会話ひとつとっても、「どうしてもっと大切にしてやれなかったのか」という悔いでいっぱいです。


お正月の帰省から神奈川に帰る際も、時間に追われていてあいさつもそこそこに駅に向かってしまっていたのですが、
その時のわたしの心の中には、「またお盆に会えるでしょ」という、あきらかな油断がありました。


まさかそのたった3週間後、涙ながらにお葬式を出すことになろうとは、つゆほどにも思っていなかったのです。

欲のない祖父の唯一といっていい楽しみがお酒を飲むことだったので、帰省のたびに祖父の好きな「剣菱」を買っていくのが結婚後恒例になっていたのですが…


祖父の遺体と対面したとき、仏間の祭壇に先日持っていった分が手付かずで置かれていたのが、なんともものがなしく、やり切れなく、胸をつかれました。

もっとたくさん会いにくればよかった。
もっとたくさん話をしていればよかった。
一緒に酒を飲んであげればよかった。

もう冷たくなって動かない祖父を目の前にして、ただただ泣けて仕方がなかったです。


「あまり会う機会はないけれども大切なお年寄りがいる」方は、どうか少ない時間でも、愛情をいっぱい注いであげてください。

今のお年寄りは、冥王星蟹座(大戦)~獅子座(権力的価値観の瓦解)~乙女座(高度経済成長)という困難を乗り越えることを余儀なくされてきた人々です。

若い世代とはあまりにも生きてきた背景や感覚がちがうため、扱いづらく感じることもあるかもしれませんが…
それでも残された時間は、もしかしたらそう長くないかもしれないのです。


後悔することになる前に、どうか、何かのかたちで愛情と感謝の気持ちを示してさしあげてください。

「じいちゃん、ありがとうね」

このたった一言がなぜ言えなかったのか。
祖父が生きているうちに伝えたかったです。

今はもう姿の見えない祖父に手を合わせ、冥福を祈るのみですが、どうしてもそのたびに

「じいちゃん、ごめんね」

という言葉が、「ありがとう」よりも先に口をついて出てきてしまうのです。

告別式のおり、「わたしがそっちにいったら一緒に酒飲もう」と勝手に約束をしてきたので、まだまだ先は長いですが、その時を待とうと思います。




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